ぬるで

大学図書館員の日常と非日常。

知識へのアクセス障壁をゼロにする

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はじめに

 ぬるで氏はとあるサービスについて、その目的を考えた。そしたら、そのサービスだけじゃなくて、図書館の目的らしきものの標語が浮かんできたので、備忘のために書いておこうと思った。

 

知識へのアクセス障壁をゼロにする

 大学図書館界では、オープンアクセスやオープンサイエンスという言葉がもはや日常語として定着している。その目指すところは「知識へのアクセス障壁をゼロにする」ことだろう。そしてその対象は、研究者だけでなく、教育者、学習者など、知識を必要とするすべての人である。

 さて、「知識へのアクセス障壁をゼロにする」には、どのようなサービスをしたらよいのだろうか? また、そのサービスを実現させるには、どのような技術や制度が必要だろうか? その方法を日夜考え、実践しているのが図書館員や図書館情報学(やその周辺)の研究者であろう。

 そこで、大学図書館員たるぬるで氏は困ってしまった。ワタシニデキルコトハ、ナンダロウカ? と。

 

おわりに

 みなさんは「知識へのアクセス障壁をゼロにする」ためにどんなアイデアがありますか? そしてそれを実現させるために、どのような行動を起こしていますか? ひとまず、ぬるで氏は妄想を逞しくして、アイデア*1を出そうとしている段階である。

 

参考

国立大学図書館協会ビジョン2025 | 国立大学図書館協会

*1:Sci-Hubはブラックだけど、オープンアクセスを実現しているなあと、思ったりもしました。

ライブラリ・スキーマとは何か?

はじめに

 ぬるで氏は「オープンサイエンス時代における大学図書館の在り方検討部会審議のまとめ(案)」(以下、審議まとめ(案))を読んで思った。「ライブラリ・スキーマ」って何だ? と。以下でつらつら考えたことを、書きました。

オープンサイエンス時代における大学図書館の在り方検討部会(第8回)配布資料:文部科学

 

ライブラリ・スキーマとは何か?

 審議まとめ(案)では、ポイントで、

「デジタル・ライブラリー」の実現には、大学図書館機能を物理的な「場」に制約されない形で再定義することが求められる。そのためには、「ライブラリ・スキーマ」を明確にした上で、教育・研究のDXのコンテクストを踏まえ、利用者が何を求めているかを整理・再検討し、それを反映してデザインされた最適な環境を構築する必要がある。

また、本文で、

教育・研究のDXが進展する中、今後の大学図書館には、物理的な「場」に制約されることなく大学図書館機能を実現することが求められている。例えば、教育では「いつでも、どこでも、誰とでも」という教育や学習スタイルへのトランスフォーメーションが想定されるが、その中で情報へのアクセスという観点から教員や学生がそれぞれどのような情報利用空間を必要とするかについての整理・再検討が必要となる。その前提として、様々な利用者に適した図書館のサービスをデザインするために必要な、自らの存在を規定する基本的な論理構造としての「ライブラリ・スキーマ」を明確にする必要がある。

という文脈で「ライブラリ・スキーマ」が登場する。「自らの存在を規定する基本的な論理構造としての」というのが説明になっていそう。

スキーマって何だ?

 とその前に、ライブラリーは置いといて、スキーマの意味がよく分かっていない。JPCOARスキーマだと、

JPCOARスキーマは、オープンアクセスリポジトリ推進協会(JPCOAR)が策定した新しいメタデータ規格です。

とあるので、「規格」のことか?

JPCOARスキーマガイドライン

また、ググってみると、

何かの構造だよ

とあるので、「構造」と考えれば良いのだろうか。

スキーマとは|「分かりそう」で「分からない」でも「分かった」気になれるIT用語辞典

 ここでは、「規格・構造」くらいに捉えておこう。

「自らの存在を規定する基本的な論理構造としての」ってどういう意味だ?

 では次に、「自らの存在を規定する基本的な論理構造としての」について。

 「自らの存在を規定する」というのは、「再定義」や「整理・再検討」ということばが出てくるので、大学図書館の役割・機能とは何かを再定義し、ということかなあ。また、「基本的な論理構造としての」というのは、根拠(科学的根拠?)や理論に基づいた、くらいの意味かなあ。

結論

 「ライブラリ・スキーマ」とは大学図書館の規格・構造のこと。

 審議まとめ(案)で言わんとしていることは、自分の役割・機能とは何かを再定義し、根拠(科学的根拠?)や理論に基づいた大学図書館の規格・構造を明確にしてくれよ、ということかな。

 まだ分かりにくいので、意訳(解釈)すると、根拠に基づいて大学図書館の機能を再定義してくれよな、ということだと受け取りました。

 

おわりに

 「自らの存在を規定する基本的な論理構造としての」の解釈が違うかもしれない。

 

(追記)

 わざわざ、

論理構造としての「ライブラリー・スキーマ

としてるので、「ライブラリー・スキーマ」は、大学図書館の論理構造と解釈するのが正しいのかもしれません。

 

 そもそも論理構造とは? が分かっていなかったみたいです。上記では文章的な論理構造のことかと思ったけれど、コンピュータ的なデータベースの論理構造かもしれない。

論理構造とは「根拠によって結論を支える構造」のこと - 勝負ドキュメント研究所

データベースの「論理構造」とは何か:ゼロからのリレーショナルデータベース入門(3)(1/3 ページ) - @IT

 データベースの論理構造(の比喩?)と解釈すると、大学図書館(サービス?)(ILLとか情報リテラシー教育とかリポジトリとか含めすべて)について、個々に見直しを行い、総体として大学図書館の機能・役割は何かを明確にしてくださいね、ということかもしれません。

出向をもっと気軽にできないか?

はじめに

 ぬるで氏は現在、小さい大学から大きい大学に出向中の身である。もうじき出向期間が終わるので、感じたことを残しておこうと思った。

出向をもっと気軽にできないか?

 ぬるで氏の場合は、一方通行の出向(双方向の人の交換ではない)です。個人(出向者)と組織(出向元・出向先機関)にとっての利点と欠点を挙げて、最後に「お気軽出向」制度の構想(妄想)を発表します。

利点
  • 経験が積める。
    • 出向者にとっては、良い経験と一緒に悪い経験も積める。出向元の機関にとっては、経験を持ち帰って還元してくれることを期待できる。
  • 新しい風が送られる。
    • 出向先の機関にとっては、意欲があり、しがらみが無い人が来てくれるので、新鮮な目で業務の見直しができる。
欠点
  • 人手不足になってしまう。
    • 出向元の機関にとっては、出向者の穴埋めをする必要がある。学内異動や臨時職員の採用などでまかなっているのだと思う。
  • 出向者が出向先に転籍してしまう。
    • 出向者の経験が還元されないので、困る。自分のところで育てた人を出向先に取られてしまうのは嫌だろうなと思う。
お気軽出向制度

 上記の利点を活かし、欠点を補う制度、その名も「お気軽出向」があると良いなと思った。国立大学では、図書系の部課長は全国異動になっている。これを係長や一般職員にも準用して、出向希望者がどこでも行けるようにすると良いなあと思いました。出ていく人がいる一方で、入ってくる人がいるし、その経験や視点も取り入れることになるので、出向者・出向元・出向先・ついでに大学図書館界全体も三方よしwin-win-win)にならないかな。

おまけ

 なお、出向とは少し違いますが、NIIや文部科学省に実務研修という制度はすでにありますね。

国立情報学研究所実務研修 | 国立情報学研究所教育研修事業

文部科学省行政実務研修生に思う 〜制度編〜 - 大学職員の書き散らかしBLOG

文部科学省行政実務研修生に思う 〜業務編〜 - 大学職員の書き散らかしBLOG

文部科学省行政実務研修生に思う 〜私感編〜 - 大学職員の書き散らかしBLOG

おわりに

 ぬるで氏はいろんな機関で働いてみたいので、交換役になりたいな・フラフラしていたいな、という願望でした。ちなみに、出向して良かったです。

  • よそ者が巨大な像を建ている

参考

出向によって得られるもの、という問い - ささくれ

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