グリーンオープンアクセスのやや漠然としたモヤモヤ感
はじめに
今回は,機関リポジトリやオープンアクセスの話題です。
モヤモヤッ,モヤモヤっとした感情がズーっとしているので,その正体を見つけて,やっつけてみた。
機関リポジトリ事業の成功
機関リポジトリって,どこの大学も運用していますね。
これだけ大学図書館に根付いているので,この事業は成功したと言っても過言ではないと思います。
でもでも,中身*1をよく見てみると…。
紀要論文が大半です。
そう,日本の機関リポジトリは「紀要リポジトリ」として,成功したのであります(と解釈しています*2)。
グリーンオープンアクセスのモヤモヤ感
さてさて,話題は変わりまして,お次は「オープンアクセス」のお話です。
オープンアクセスには「グリーンロード(自分(たち)で公開)」と「ゴールドロード(出版社や学会が公開)」の道があります。
機関リポジトリは「グリーンロード」を歩んでいますが,ここが私が一番モヤモヤするところであります。
なぜなら,
「出版社版(雑誌に載ったそのままの形)」での公開ができない*3からです。
「著者最終稿*4(査読が終わって書き直しをした最終原稿)」だと引用できないんじゃないの? と,ふと思ってしまうのです。
じゃあ,どうすりゃいいのか?
そんじゃあ,リポジトリにゴールドロードを歩んでもらおうじゃないか!
ということで,3つ提案。
- 図書館が学術出版社を運営する。
- 紀要に1番良い論文を出してもらう*5。
- 出版されていない論文も掲載する。
図書館が学術出版社を運営する
大学出版会って,ありますよね。
そこでエルゼビアとかワイリーとかに負けない学術雑誌を作っちゃうのはどうだろう?
その雑誌を出版会がある大学のリポジトリで公開する。
ちょっとハードルが高そうだなあ(各大学には編集者もいないだろうし。)。
紀要に1番良い論文を出してもらう
査読をしようがしまいが,著者以外の研究者が良い評価すれば,その論文は価値があるということになりはしまいか?
そう,紀要に載ろうとも。
ということで,先生に良い論文は「紀要リポジトリ」で公開しましょうを薦めましょう。
出版されていない論文も掲載する
もう,出版されていない論文も公開しちゃおうぜ。
arXiv.orgで公開されて,雑誌に投稿されなかった論文(プレプリント)で,ペレルマンがフィールズ賞を取ったんだし*6。
おわりに
また,妄想でした。でも解決策を考えただけで,少しモヤモヤは低減したよ。
*1:コンテンツ統計(全体) | 学術機関リポジトリデータベース
*2:「博士学位論文の公開義務化」も大いな要因の1つでしょうが。
*3:できるところもある。
*4:これを機関リポジトリに載せて良いと言っている出版社が多い。SHERPA/RoMEO - Publisher copyright policies & self-archiving
*5:昔,ネットで紀要に1番良い(力を入れた)論文を出すとお書きになっている先生がいらっしゃいましたが,どの記事が見つけられませんでした。すみません。
*6:他の例は知らない。