ぬるで

大学図書館員の日常と非日常。

「著作権」の一生

はじめに

 ぬるで氏は考えた。
 図書館の役割は「利用者に情報を提供すること」=「人類みんなで知を共有すること」である。
 なぜなら「利用者が情報を編集して新しい知を創造するため」=「人類の知を増やすため」である。
 すなわち「知の発展に資すること」が最終目的である,と。

 

 では問題です。知の発展を阻害しているのは何でしょうか?
 もしかして「著作権」? という考えに至ったのでした。

 

著作権」の一生

2358年11月9日

著作権という権利があったことを知っている人はいるか? はい,そこの君。」
「たしか,200年くらい前にあった権利ですよね。著作権を持っているとお金がもらえるとか,そんな感じでしたでしょうか?」
「うむ。大体あっておる。だが,無くなった。なぜだか分かるかね?」
「そもそも,どんな権利だかよく分かりません。」

 

2145年6月3日

「この法律は2160年1月1日から効力を失う。」
この一文を入れるまでの長い,長い,本当に長い道のりを聞いてくれるかい?

 

2035年3月30日

「もう金輪際,あなた方と同じテーブルに着くことはないでしょう。著作権を無くして欲しいなんて受け入れられるはずないでしょう。」
 文化庁の片隅で行われた学術著作権協会のM氏との話し合いはいきなり決裂してしまった。
 弱ったなあと思いつつ,冷や汗をかいているのは,図書館代表として意気揚々と乗り込んでいた,N氏である。今日の所は出直そうかなあと,尻をもじもじさせていると,
「まあまあ,ここは図書館側がこの提案に至った理由を聞いてみようじゃないですか。」
と,助け船を出してくれたのは文化庁のS氏。
「で,では,改めまして,われわれの提案とこの結論に至る経緯をお話しします。」

 

To be continued.

 

おわりに

 最近,SFを読んでいる。よくこんなことを考えるなあと感心しきりです。面白い。

 

参考

ja.wikipedia.org

www.bunka.go.jp

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