今,大学図書館ができることは何だろう?
はじめに
ぬるで氏が勤務する大学図書館も,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大防止対策のため,休館になってしまった。
そんなわけで,学生さん,研究者のみなさんに,どんな支援ができるのかなぁと考えてみた*1。
図書館ができること
休館中図書館の支援調査
まずは既に休館している大学図書館がどういう支援をしているかを調査だ!
調査方法
以下のように調べたよ・よ・よ・よ。
- "The Times Higher Education World University Rankings 2020"から各地域(北米とかアジアとか)のランキング上位の大学を選ぶ。
- 上記大学の図書館のWebサイトをチェック。
- サービス状況を熟読*2。
調査結果
ということで,調査結果が出ました!
University of Oxford[オックスフォード大学](イギリス)
Bodleian Librariesという図書館がメインの図書館みたいで,納本図書館でもあるみたい。なので,ここの支援をご紹介。
"Keeping the University reading"(意訳ですが「いつもどおりに読めるようにするぜ!」くらいの意味でしょうか? このくらいの意気込みが良いですね!)というページに休館中の支援がまとめてありました。
- [貸出]返却日の延長,罰金の免除。
- [ILL]料金の無償化(電子的配達のみ。)
- [ディスカバリー・サービス・リポジトリ・デジタルアーカイブ]通常どおり利用可能。
- [電子書籍・電子ジャーナル・データベース]認証で利用可能。
- [読書支援システム]認証で利用可能。≪Oxford Reading Lists Online(本や論文を見つけたり,管理したりするためのシステム。)≫
- [冊子体のスキャンと(電子的)配達]病院スタッフのみ利用可能。
- [レファレンス・情報リテラシー教育]チャットや電子メール。
- [パスファインダー・情報リテラシー教育]通常どおりLibrary Guidesを利用可能。
盛りだくさんですねぇ。資料の貸出再開も検討しているみたいです(郵送するのかな?)。
California Institute of Technology[カルフォルニア工科大学](アメリカ)
"Caltech Library"と呼ばれてるんですね。
"Off-Campus Access: Library Operations Spring Term 2020"に支援情報がありました。
- [貸出]返却日の延長。
- [ディスカバリー・サービス・リポジトリ・デジタルアーカイブ]通常どおり利用可能。
- [電子ブック]教科書をオンラインで利用できるように,教員のリクエストに応じる。
- [電子ジャーナル・データベース]認証で利用可能。
- [ILL]電子媒体のみ利用可。申し込みがあった資料はできる範囲で電子資料の購入で対応する。
- [レファレンス]電子メール。
- [情報リテラシー教育・パスファインダー]オンライン・ワークショップ(Zoomを利用したワークショップ。),Library Guides。
リクエストには全力で応じます! みたいな意気込みを感じました。
清華大学[Tsinghua University](中国)
「疫情防控期间图书馆资源服务指南」(「休館中の図書館サービス案内」くらいの意味でしょうか?)というページに支援がまとまっていました。
- [(レファレンスなどの)相談サービス]電話・メール・チャットでの相談受付。
- [貸出]返却日を自分で更新できるようにした。延滞の容認。
- [ILL]電子媒体の配達。
- [情報リテラシー教育]オンライン講義,ビデオ配信,オンライン討論会。
あらゆる相談に力を入れてます! ということが伝わってきました。
メルボルン大学[University of Melbourne](オーストラリア)
"Coronavirus (COVID-19): student advice and support"という大学の支援ページに図書館のサービスもまとまっていました。
- [貸出]罰金の猶予。
- [相談]電子メール・チャット。
- [ILL]電子媒体の配達。
- [情報リテラシー教育・パスファインダー]Library Guides
- [複写]冊子体からはできないため,電子ブックを案内。無ければ近い内容の電子ブックを案内するか購入を検討する。
- [電子ジャーナル]論文リクエストフォームから,リクエストを受付する。
こちらもリクエストには前向きに対応します! ということが分かりました。
ウィットウォーターズランド大学[University of the Witwatersrand](南アフリカ)
"Wits Library"と呼ばれてるみたいです。"Important Service Update"に情報がありました。
- [貸出]罰金の猶予。
- [相談]チャット,Webフォーム。
- [電子ジャーナル・電子ブック・データベース]認証で利用可能。
オンライン資料は止めないぞという意志を感じました。
サン・パウロ大学[Universidade de São Paulo](ブラジル)
情報が見当たりませんでした……。
まとめ
世界の大学図書館は,
- 電子ジャーナル・電子ブック・データベースは通常どおり利用可能。
- チャット・メールでの相談・レファレンス。
- 電子媒体の配達とILL料金の無償化。
- OPAC,ディスカバリー・サービス,リポジトリ,デジタルアーカイブも通常どおり利用可能。
- LibGuides,オンライン講義での情報リテラシー教育。
という支援をしているぞー。
日本でできる支援策
じゃあ,日本の大学図書館は何ができるのでしょうか?
ということで,こんなサービスを提案しまっす。
……と大見得を切ったところですが,
何も…,何も……,何も………,思い浮かばない。
おわりに
早く収束すれば良いですね。みなさんはどんな支援を考えていますか?
参考
https://libguides.caltech.edu/off-campus-access
http://lib.tsinghua.edu.cn/dra/
https://library.unimelb.edu.au/
https://students.unimelb.edu.au/student-support/coronavirus/information-for-all-students#libraries