国立学術出版社「ジャイアン」を設立しましょうか?
はじめに
ぬるで氏は思った。「電子ジャーナルは高すぎるし,物理的実体がないので,契約しなくなったら無くなってしまうじゃない!*1 どうしたらいいの?」と。
「イヤイヤ,実体としてサーバがあるでしょ!」 という反論は置いといて,せっかく払ったお金なんで何とかならないかなあと考えたのでした。
電子資料のモヤモヤ感
学術情報基盤実態調査(平成29年度実績)によると,
平成29年度の図書館資料費のうち、紙媒体の資料(図書と雑誌の合計)に係る経費は288億円であり、前年度より14億円(4.6%)減少した。また、電子媒体の資料(電子ジャーナルと電子書籍の合計)に係る経費は313億円であり、前年度より2億円(0.7%)減少した。
ということで,冊子体より電子資料の方が多く支払っているんですね。
この電子資料の313億円は,どこに行っているんでしょう? それは,出版社とかデータベース企業です。契約しなくなったら,「無」になっちゃうのは,もったいないですね。
国立学術出版社「ジャイアン」
ということで,毎年313億円の予算で国立学術出版社「ジャイアン(Japanese International Academic Network press)」を作りましょう。
主な利害関係者は「科学者(日本学術会議)」と「エルゼビア,ワイリー,シュプリンガー等の出版社」です。
従たる関係者として「大学図書館(JUSTICE,JPCOAR)」や「科学技術振興機構(JST)」が出てきます。
- 科学者のみなさまには,学術成果を「ジャイアン発行」のInternational Journal各種で発表してもらいます。
- もちろん即時オープンアクセスです。
- 編集者は,当初はエルゼニア,ワイリー,シュプリンガーから出向してもらって,徐々に独り立ちするという戦略です(独り立ちする前は出版社にお金が入る)。
- プラットフォームとしては,J-STAGEを使います。
- 論文評価指標としてはインパクトファクターではなくAltmetricsを使います。
- 独り立ちし,余力が出てきたら,学会誌の編集事務やJ-STAGEへの登録も引き受けちゃいます。
- 国を挙げてのオープンアクセス出版の完成です。
- 日本の成功を各国がマネをします。
- 全学術雑誌のオープンアクセスの完成です。
おわりに
出版社等と共存共栄ができる仕組みを作れるんでしょうか?
参考
船守美穂(2020)「学術論文発表と研究評価を取り巻く環境の大変貌―オープンアクセス誌がもたらすパラダイムシフト」
http://hdl.handle.net/11094/73725
平成30年度「学術情報基盤実態調査」の結果報告(概要)(令和元.6.28)
https://www.janul.jp/sites/default/files/2019-07/jittai30gaiyo.pdf
*1:「契約した年の論文は見られる」という契約をしていれば,無くならないはずですが,出版社がなくなったりということが,無いでは無い。